あさぶろ日記

note のほうに書いている記事を保管しているだけです。

手前の都合で使うなよという話。

最近よく聴いている歌がある。
冒頭から申し訳ないが、リンクを貼らせていただく。

国語 ー ハンバートハンバート

初めてこれを聴いた瞬間からもう気に入ってしまった。
特に、最初は控えめなのに、曲の最後のほうではめちゃくちゃ感情丸出しになっているのが何とも痛快だ。

まさに、最近の私は、ずっとこういうことを考えていたのだ。


今私の就いている仕事が情報システム開発に関するものだからなのか、やっぱりこういう、いわゆる横文字というものが日常会話の中でたくさん出てくる。やれ、フィックスだの、リスケだの、ペンディングだの・・。

でも、少し言い訳をさせてもらうと、仕事に関係する用語に限った話をすれば、横文字が出てくるのは仕方ない部分がある。それらは日本語に訳せないからだ。いや、訳せはするけれど、敢えて訳さない。最も基本的なところだと、コンピュータ、だ。これは日本語では「電子計算機」と訳すそうだが、誰もそんな言い方をしない。なぜなら「まどろっこしいから」だ。市民権を得ている言葉としては

「コンピュータ」>「電子計算機」

だから、敢えて知名度の低いほうで表現はしないのだ。(もちろん「電子計算機」という呼び方がいけないわけではない。場所が変わればその言葉が多用されることも当然ある。)

たとえば他にも、この業界に居ると、こんなような言葉が飛び交ったりする。

突然失礼いたします。システムの発注管理画面でバグが見つかったので、緊急で修正する必要があります。忙しいところすみませんが、コードレビューをお願いします。
つきましては、このプロジェクトにあるソースで、発注に関わるこのクラスから呼ばれている共通メソッドで、一部誤った判定条件になっている箇所を直しました。はい、リロードする際にこのクラスのメンバーが一部初期化されていないことが原因でして・・。たしかに本来のフローでは、設計書も直さなければならないのですが、本日中に発注が必要な部品があって業務が止まっていますので、まずはソースコードだけ確認をお願いします。申し訳ないですが、設計書はリバースエンジニアリングで対応します。
あっ、レビューOKですか?ありがとうございます。カバレッジも取りました。全パターン大丈夫そうです。それではコミットします。すぐにテスト実施したいので、開発環境にリリースをお願いします。こっちのブランチからお願いします。はい、ありがとうございます。テスト仕様書もあります。はい、マトリクスもつけました。それから・・

とかそんな感じだ。

ソースコードだの、クラスだの、レビューだの、マトリクスだの・・業界の外の人からすれば「は?何じゃそれ」という横文字だらけなのだけれど、これらもコンピュータと同様、「言い換えが難しいから仕方なく」使っている。言い換えようと思えば、できないこともない(はず。やったことないけど)。けれど、言い換えた後の言葉を、一緒に仕事をする人たちが聞いて逆に「それどういう意味?」となってしまって、意思疎通に支障が出てしまう。

言わば、敢えて、言い換えないその言葉そのものが「共通語」になっているのだ。あんまり良い言い方ではないが、専門用語なのだ。専門用語は、その意味を理解している人たちの間で認識を合わせる労力を極力少なくしてくれたりする。仕事を進めるうえで便利だから使うのだ。だから、これらは許してほしい。

私が言いたいのはそれではなく、自分としては普通に仕事をしているだけなのに、時に、むやみやたらにそういう横文字が使われるケースに出くわす時があるということだ。それは往々にして、「自分の業界(土俵)の常識を、相手にも押し付けようとしてくる」という人たちが出てくる場面なのだ。

システムの業界に居ると、「いかにも」な人に会うことがある。あまり悪口を言うつもりはないけれど、そういうところ出身の人というのが居るのだ。しかも結構いっぱい居る。「あなたのような立派なご経歴の方がこのような下々の領域までおいでになるなんてどういう風の吹き回しでしょう」みたいな。その人たちとの会話が、まぁ個人的に苦痛というか居心地が悪いというか・・。それは、普段使う言葉が違うからなのだ。

ソリューションとか、アサインとか、サマリーとか。
・・うん、まぁこの辺りは分かる。たまに私も使っちゃう。

インビだとか、アロケだとか、スロットだとか。
・・え?何て?ごめん、なんでいきなりパチンコの話?

彼らはとてもエリートで優秀ゆえ、常にそういったグローバルな世界に居るからそうなってしまうのも当然かもしれないが、どうにもそういう言葉を聞くたびに、私は古いタイプのいわゆるポンコツ人間なので、内心「えっ、何その言葉、どういう意味・・?」と思ってしまって、こっそり調べている。

どれどれ・・インビ=インビテーションの略で、会議招集。アロケ=アロケーションの略で、割り当て、か。ふむふむ、なるほど。・・って、いや、日本語で言えよ・・!と内心毒づいている。日本人しか居ない打合せで、そんな耳なじみのない言葉を使うんじゃないよ、と。えっ、私だけが意識低くて、他の人たちにはすんなり受け入れられている?そうですか、それは失礼しました。。

とにかく、ここ最近そういう「無駄に横文字系」の方々とお話しすることが多くて、何とも気持ちが疲れたりする。もちろん、言葉なので、何回か聞けば慣れるし覚えるのだけれども、それを「自分のところの業界が標準です」みたいな感じで来られてもなぁ・・と思ってしまう。

けれど、顔には出さない。私は「承知しました。はい、スロット(=候補日)ですか?来週だと木曜と金曜の午後はいかがですか。よろしければこっちでインビ(=会議招集)出しますので」と返す。そこで「あのさぁ、もっと分かるように言ってくれない?ここは日本なんだからさぁ」などとは言わない。本音を押し殺して今日も心を擦り減らして働くのだ。郷に入りては、どうするべきか。えぇ、従います、従いますとも。会社のためには。サラリーマンですから。変に空気を悪くすることなどしません。そこで空威張りしてもメリット無いしね!というかそもそもそんな度胸が無いんだけど。

そういう時に、ハンバートハンバートのこの歌を聴くと、なんともホッとするのだ。だよね?だよね!分かんないよね。みんな深く考えずに使っているんだよなぁ、困ったもんだよなぁ。てめえの都合で使うなよ、ってほんとだよね。ああよかった、分かってくれる人が居て。と。

と、しかし話はここで終わらない。

それと同時に私は、背中にじんわりと嫌な汗をかく。そう、自戒の気持ちも出てくるのだ。私が所属している「業界」の言葉を、その「業界外」に居る人に対して、同じ言葉で話さないように気を付けないとなぁ、と。

なぜなら、私がこの記事の中で散々文句を吐いているように、もしかしたら私も、別の場所に居る人たちから、「おいおい・・ちょっと待てよ。お前こそ、なに横文字ばっかり使って、かぶれてんだよ」と思われているかもしれないからだ。仕事上でもそうだし、もしかしたらここ note という場においてもだ。

結局、井の中の蛙で、小心者。私の話です。誰も悪くないですから。

そういうわけで、できるだけみんなが分かる言葉を使ったほうが良いですよね、でもしょうがない時もあるよね、私も気を付けるようにしますねというだけのお話でした。偉そうに人様に披露できる教訓なんて何にも無いよ。おしまい。