あさぶろ日記

note のほうに書いている記事を保管しているだけです。

距離感と人間不信の話。

子どもと一緒に近所を歩いていたところ、見知らぬ女性に話しかけられた。割と、子連れにとっては、よくあることなんじゃないかと思う。少なくとも、私はしばしばある。子連れにとっては、よくあることなんじゃないかと思う。少なくとも、私はしばしばある。

その女性は、恐らく私の母と祖母の間くらいの年齢で、実に自然な流れで会話を始めてきた。「あらっ、お父さんとお散歩、いいわねえ」と最初は息子のほうに話しかけ、こちらも返事として会釈程度にとどめていた。よくあるケースでは、そこで会話は終了する。

が、今回は違った。
向こうはウォーキングの最中だったようだが、次第に一方的に話をされて、並走するように、その女性も横に並んで同じスピードで歩くようになっていた。無視して走り去ることもできたが、見たところ向こうは好意的な調子で話しかけてくるので、無下にもできなくて、唯々「えぇ」「はぁ」「なるほど」「そうですか」といったワードを使い回して切り返していた。それに、付近をウォーキングしているくらいなので同じ町内の人だったりすることもある。そうなると、事を荒立てずにやり過ごすほうが良い。

しかし段々と、私に対して、何か自慢というかマウントをとっているのか知らないけれど、その人は、こちらが訊いてもいないのに自分の話を延々と始めた。

「うちの孫もね、4人居るのよ。全員男の子でね。やんちゃよ、でも可愛いの。何かあるとすぐ欲しいものをねだられるの。息子からは『何でもばぁばに買ってもらいなさい』なんて言われてね。あなたも、見た感じ、やんちゃそうね!
いいわね、ぼく。勉強をしっかりやりなさいよ。本を読みなさい。うちの場合は、新聞を切り抜いてまとめてたの。ぼくちゃんも、日記も書くといいわ!私が関西からこっちに引っ越してきた時は、子供の通っている学校の担任先生に言ったのよ。『うちの子は、こんなに文章を書くのが得意なんです』って。そしたら表彰されたわよ。
いいね、ぼく。これからしっかり毎日、日記を書くこと。分かったわね。ばぁばと約束するのよ!」

いきなり捲し立てられて、一方的に教育方針を突き付けられて驚いた。最後のほうは息子に対してまさかの宿題の強要まで・・。
ようやくウォーキングコースから外れたようで、その人から解放された。家まで知られなくて良かった。

今思い返してみると、結構怖い出来事だったなと思う。「いや、普通の優しいおばあちゃんだろ」という意見もあるかもしれない。でも、私はちょっと恐怖を抱いた。その時も、失礼ながら「ちょっと変わった人だな」という思いはしていたので、その人側には息子は歩かせないように、手を繋いで息子を自分の近くに引き寄せて歩くようにしていた。結果的に実害が無かったので良かったが、やはり油断はできない。向こうとしては、ただただ子供の可愛さに触れて、お喋りもしたかったのかもしれないが、正直怖かった。

その恐怖の原因は、きっと「距離感」だ。
私は、あまり大きな声で言いにくいが、そんなに人間を信用していない。何も知らない間柄の状態で話しかけてくる人間を100パーセントの善意があるとは思えない。詐欺か強引な営業だろうと思っていて警戒している。

冒頭でも書いたが、子供と一緒にいると、本当に「可愛いお子さんね」という調子で近づいてくる人は、居ることは居る。多分悪意なんて無いケースもある。けれど、悪意が無いかどうかは確かめようがない。まったく初対面で赤の他人であれば、その人の人となりなんて分かるはずもない。だから、子供を守りつつ、「ありがとうございます~」という返事をして、可能ならすぐさまその場を切り抜けるようにしている。

そして今回のように、グイグイと訊いてもいないのに自分の話を展開し続け、強引に距離を詰められると、やはり信用できない。申し訳ないけど。

これは今、田舎に住んでいるからなのか?だから距離が近いのか?と思ったが、そうでもないような気もする。
以前、東京に住んでいた時も、似たような出来事があったのを思い出した。まだ息子が乳飲み子だった頃、ベビーカーを押して、北千住の街を歩いていた。すると、やはり全く知らない老婆が、それも自然な流れでこちらに近づいてきた。そして、その人は笑顔になりながら、ベビーカーに寝ていた我が子に手を差し伸べようとしていた。向こうは愛情を持っているのかもしれない。でも、明らかに怖い。その時は気づかないフリをして無視して、すぐさま走って逃げた。

もしあの時、そのまま老婆に赤ん坊を見せていたらどうなったのか分からない。すごく良い方で優しく抱っこしてくれたかもしれない。でも、もしかしたら、抱きかかえた傍から走り出して連れ去られたかもしれない。申し訳ないが、分からない。人の心は見えないからだ。

今回も同じで、その女の人が一体どういう目的で話しかけてきて、最終的には一体何が言いたかったのかは分からない。けれど、私にとっては「その距離感はNG」だった。なので、申し訳ないが、ちょっと怖かった。

親としては、そんな初対面の人に「え~そうなんですか、今度色々教えてくださいよ。お家はどこにあるんですか?今度、子供を連れて遊びに伺ってもいいですか!」みたいなコミュ強のオバケみたいなことができる人のことを羨ましくも思う反面、やはり子供が危険な目に遭う可能性が微量でも存在するのであれば守らねば・・という思いになってしまう。結局、人間不信なのかもしれない。

物騒な世の中、と一言で片付けてしまえば済むけれど、それを笠にしてしまうと、純粋なコミュニケーションをとりにくいなぁ、とも思ってしまう。まぁ自分のコミュ力が異様に低すぎるのは否めない。